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バンド・オブ・ブラザーズのディープな楽しみ方 | ||||||||||||||
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原作はありふれた兵士による個人的な物語の体裁をとっており、そこには兵士の怖れから、戦場での生々しい会話の数々、戦友同士の関係、そして何が彼らには大切なことだったのか、諸々の事柄がこと細かに記述され、第2次大戦が身近なものとして読者に実感できる力作となっている。英語の原書を読むのは初めてだという方にも、一度、ハマルと、飽きることな最後まで読破できるだろう。とはいえ、やっぱり日本語でないと・・という方には、邦訳本もある。いずれにしてもこの秋、読書に最適。 ![]() 物語は42年から45年までの3年間、第2次世界大戦中、米陸軍101空挺師団第506連隊のなかのE中隊(”イージー・カンパニー”)の苛烈な戦いのプロセスを、兵士たちの人間模様を軸に描いたものだ。製作費1億2000万ドル(約150億円)を費やし10話からなる全10時間余りの構成。テレビのドラマシリーズとしては、すべてに桁はずれのスケールで展開する。 ジョージア州米軍トコア基地の新兵訓練から、Dデイ前夜のノルマンディへの降下、オランダでの「マーケット・ガーデン作戦」、ドイツの最後の反撃「バルジの戦い」、ベルヒテスガーデンの攻略、さらにダッハウのユダヤ人強制収容所、そして終戦間際のヒトラーの山岳の隠れ家「イーグルズ・ネスト」(鷲の巣)の占拠とE中隊の転戦の跡を追う。各エピソードごとに「群像劇」と「戦い」を両輪にした構成で、トム・ハンクスが「真実の重みを伝えたかった」と言う通り、従来の戦争映画にあるような情感を排し、冷徹に戦争の現実をつきつけてくる重量感あふれる演出となっている。
さて、この物語をよりディープに楽しむには、ノルマンディ上陸作戦・マーケット・ガーデン作戦・バルジの戦いの全容を把握しておく必要がある。ミリタリー・マニアにとっては常識的なことかもしれないが、どういう状況で戦争が推移するのかということを知らない方は、個人レベルで語られるストーリーに戸惑いを覚えるかもしれないし、E中隊の活躍が全体のなかでどのような位置づけになるのか興味をもつことだろう。 予備知識を得るのに最適の和書は、ハヤカワ書房から出版されているコーネリアス・ライアンとジョン・トーランドの著作である。しかし残念ながらマーケット・ガーデン作戦を扱った「遥かなる橋 史上最大の空挺作戦」は絶版となっており、これは洋書だけが入手可能だ。この「遥かなる橋」は映画「遠すぎた橋」の原作でもある。三つともに名著として名高く、著者はピュリツァー賞受賞の腕前なので、この際、読んでみるのもいいのではなかろうか。 原書はかなり長文だが、戦記ものというのは他の文学と異なり、難解な文法表現は皆無に等しいので、挑戦可能な目標といえる。
ともかく、これほど名作つながりの作品も珍しいというほど、すべてにおいてハイクオリティーなので、必見に値する。内容については、言い過ぎると面白みが半減するので、あまり言えないため、特に内容をさらに知りたい方は、WOWOW主催のHP「 BAND OF BROTHERS 」を参照していただきたい。ちなみにDVDは11月頃の発売予定で予約受付はまもなく。 |