ナポレオニック!

ナポレオニックというジャンルについて、もはやとやかく言うまい。しかしこれだけは言えるだろう。ナポレオニックを知らずしてゲーマーとは呼べまいと。ナポレオニックこそがウォーゲームの原点である。もちろん、本当の原点はフィギアやボードゲームであるが、忙しい現代人に数百から数千にも及ぶ駒を並べたり、いちいち命中判定やら修正値を暗算したりする余裕はないのだ。とするならば、ナポレオニック・PCゲームはベター・チョイスということになる・・・、というのは極端に偏った意見だが、そういった前ふりを差し置いても、ナポレオニックには純粋な面白さがあるのだ。銃や大砲といった近代兵器と、刀剣や騎馬という前近代兵器の混在する戦場には、どこかノスタルジーとともにファンタジーが感じられる。それはまさに現代戦には無い要素であり、ゲーム=楽しむという点において、現実と適当な距離と置くという意味でも最適の題材なのである。


NAPOLEON 1813
このゲームについて詳しく
知りたい方はここをクリック

とはいえ、残念ながらナポレオニックゲームの種類はそうは多くない。また生産数自体もそう多くはないのでゲットできるときにゲットしないと二度と手に入らないなんてことも珍しくはないのだ。
日本のゲーマーのなかには「NAPOLEON 1813 」という、師団規模のドイツ全域を舞台にした戦略級ナポレオニックを手に入れたいと思っていたが、手に入れ損なったという方も多いのではなかろうか? 個人的にかなりの方から相談をうけたが、そのときは対応できなかった。しかし朗報である。EMPIRE INTER ACTIVE社が販売を終了していたこのゲームが現在、アマゾンコム内のzShopで手に入るのだ!
数に限り(48個)があるのでお早めに。

次にStrategy First 社から3作品。「 Waterloo: Napoleon's Last Battle 」、「 Cossacks: European Wars 」、「 Man of War II: Chains of Command 」をチョイス。 この会社は同様のSid Meiers氏のシステムで数々の歴史系・ファンタジー系のウォーゲームを発売しているが、これはそのシリーズの一部。



Waterloo
Cossacks
Man of War
最後のマン・オブ・ウォーは帆船ものなので、やや形式が違うが、他のものは一般的にエイジ・オブ・エンパイアに似た構図で、いわゆるリアルタイムストラジーゲームの部類に属する。ワーテルローの方はわりと細かいこともできるが、見た目はNAPOLEON1813の会戦モードとほぼ同じ感じ。リアルタイム制は好き嫌いが分かれるところだろう。LANや専用ネットで多人数プレーも可能で最大8人まで同時にプレーできるのは魅力ではある。日本の事情を考えると会社のLANで遊ぶわけにはいかないから、現実的ではないかもしれないが、リアルタイムで多人数プレーというのは、なかなか壮観で、戦闘を指揮している臨場感は満喫できるので、可能なら挑戦してみよう!
あとおまけとして、これと同じシステムでアウステルリッツ会戦を扱ったShrapnel Games 社製の「Austerlitz: Napoleon's Greatest Victory」もある。別の会社で同様のシステムを採用するのは珍しいが、スタッフに何か関係があるのか、その辺の事情はしらない。ただ少なくともワーテルローとアルステルリッツという二つの戦場が確保されているというのはうれしいものである。両会戦ともにヒストリカルな展開を脱しうるような大胆な作戦は難しいが、ナポレオニックを満喫するという点ではナポレオン戦術の典型的な事例だけに、戦術理解には役立つだろう。


La Grande Armee
さて、今の最もお勧めの品について話を進めよう。前々からナポレオニックゲームを開発していると噂されていたMatrix Games 社がついに「 La Grande Armee At Austerlitz  」を発売したのである。昔聞いたところでは確か戦略級の予定だったはずだが、完成したゲームはいうゆる”会戦級”。しかしキャンペーンシリーズと銘打って、1805年から1815年までのすべての会戦を再現”できる”ものだと号して、第一作目であることを強調しているところをみると次回作もあるのか?(その辺はかなりあやしいもなのだが・・)
システムは独自のスタイルで、マップにはヘクスがない。NAPOLEON1813の会戦モードと同様、命令書のタイムラグがあり、部下への指示が敵に奪われるということもある。このルールは徹底的にヒストリカルプレーを追求するプレーヤー(なぜか英米のゲーマーはこれにこだわる)ならいいが、ターン制の好きな私にとってはやや邪魔くさい気もする。
このゲームの最大の特徴は、兵隊レベルの低い視点での3Dビューである。他のゲームでのフィギアを並べた感じの鳥瞰図っぽい視点よりも、部隊を指揮している雰囲気はよくでている。また2Dマップはヘクスがない分、本物の地図を広げたような趣がある。もちろん指揮官も肖像画付きでオールスターキャストで登場するので、この辺も見ものだ。リアルタイムはちょっとイライラするものだが、このくらい視覚要素にこだわっていると、部隊を機動させるという別の楽しみ方もあるのではなかろうか。ともかく次回作を促す意味でも、これは買いだろう。




次に、もはやレトロゲームと言ってもいいと思うが、Talon Soft社のBattlegroundシリーズから、「WATERLOO 」と「Prelude to Waterloo 」。これは別にHP上で解説しているので内容は省くが、ボードゲーム風のスタイルで海外では特に根強い人気があり、HPS Simulations というところから、「 Napoleon's Russian Campaign」「Napoleon's Eckmuhl Campaign 」「(カナダでの米英戦を描いた) The War of 1812」というレーベルで、システムを進化させた形で発売というか公開されている。アイラウ会戦など、マップ・シナリオはネット上に多数公開されており、無料のものもあるし、有料のものある。Eメール対戦はなかなか白熱するので、レトロ感もあるが、ロングセラーゲームと言えるだろう。
ナポレオニックの面白さの中の”対戦”という要素も見逃せない。限られたルールでも、人間対人間という争いとなるとやはりやり方や流儀は違ってくるものだ。そこには新鮮な驚きがある。それこそナポレオン対ウェリントンといった名将の対決の再現というものだ。ナポレオニックはやったことがないという方には、そういった驚きに接してみるものいいのではなかろうか?

最後に極め付きの新作の紹介。なんとヨーロッパ製(会社がドイツかフランスか不明)で、その名も「War & Peace 」! 発売は02年9月9日とのことだが、発売元のサイトで製品紹介してないものだから、ネット上を探しに探して("cz"ということはチェコだと思うが)、次のところ でスクリーンショットとゲームレビューを見つけた。なんとか判断できるところだと、リアルタイムストラジーゲームで、プレーヤーは国家(フランス・イギリス・プロシア・ロシア・オーストリア?・トルコ?)を選び、半世界規模で戦う、いやゆる”リスク”のようなスタイルらしい。やたら帆船と町のグラフィックが登場するところをみると、やはり外交と運営を中心としたマルチゲームなのだろう。
ちょっと興味はあるが、何とか英語版がでてくれないものだろうか? タイトルは英語なのであるかと思って探しているが、未発見である。どなたか知っている情報があれがお教え願いたい。

さて、”リスク”や”インペリアリズム”など、半ナポレオニックものは今回取り上げなかったが、ここにあげたものが現在、入手可能なナポレオニックPCゲームのほぼすべてである。はっきり言って、ここにあげたゲームの数々は、ナポレオニックの魅力をすべて表現しきれていないし、すでに存在するナポレオニックボードゲームの名作の数々にも及ばない。またリアルタイム多いのも、気にかかるところだ。ターン制の場合、Eメールなどでの対戦が可能だが、リアルタイムだと常時接続が要求され、コストも時間もかかる。一人でプレーするにしても煩わしさがある。忠実に再現するといっても、リアルタイムというより所詮ゲームタイムであって、1時間や1日を3分、5分と短縮するわけだから、そこにはディフォルメと選択肢の限定がある。特にリアルタイムの問題は、プレーの自由度が少ないということだろう。結局のところ多くの部分をコンピューターに処理させるものだから、プレーヤーのできることは移動のみというようなゲームも少なくない。個々の行動をすべてプレーヤーが行うというのも、面倒でヒストリカルではないかもしれないが、その逆にほとんどAIまかせというのも実につまらないものだ。そういった欠点を解消するには、行動の選択肢を増やすとか、リアクションやハプニングを増やすとか、自由度や楽しさを増す努力が必要とおもうが、いまのところそこまで踏み込んだものがないのが現状だ。アンチリアルタイムゲーマーとしては、ターン制の復活を望まないでもない。あるいはその融合もいいだろう。移動や砲撃などをターン制にして、戦闘(白兵戦)や騎兵突撃をリアルタイムにするというのもいいのではなかろうか。ゲーマーとはだいたい欲張りなものだが、題材がいいだけにもっと優れたゲームを求める思いが強い。これからもよく目を光らせて探していかねばなるまい。


ヘルプトップページへ プライバシーポリシー 免責事項 お問合せ
Copyright 2002 QMG. All Rights Reserved.
All other uses are prohibited without the formal authorization of GlideCompany.